欠けてるあなたが大好きです。
試合が始まってキュッキュッと
靴と床がこすれる音が響く。
今日最後の決勝戦だからか、はたまた
前バスケ部キャプテン
対
現バスケ部副キャプテンの試合だからか、
とても多くの人が観戦している。
副キャプテンはもちろん朔くんのこと。
プレイヤーが全員止まることなく動いている。
…体力がないわたしにはできっこないな。
開始1分でバテる自信がある。
大ちゃん先輩と朔くんと諒くんが
どんどん点を稼いでいく。
でもさすがは先輩。
朔くんと諒くんがたくさんシュートを決めてるのに、
点差が離れないどころか少しだけ先輩チームのが上。
「うっわ。ロール使うとかガチかよ。」
「せめてサルか風越相手にしないと…。
先輩大人気ないわー。」
隣の琉奈ちゃんと明日香ちゃんが批評してるけど、
ロールって何だ?
ロールケーキ…?なわけないよね。
煌友祭特別ルールでバスケの試合は
10分×2の普通の試合の半分の時間。
最初の試合時間が終わって、諒くん達は汗をぬぐっている。
点数は16対14で諒くん達がギリギリ負けている。
「正直風越もいるし余裕だと思ってたわ…。」
「いやあれは先輩が大人気ないだけじゃない?
サク達はいかにも経験者って先輩にしか
本気出してないし。」
「でもこのままじゃキツイって…。」
うーん、と隣でうなってる2人をよそに、
わたしは諒くんをじーっと見つめる。