欠けてるあなたが大好きです。

何が諒くんにバスケをさせてるんだろう。


感情がない彼には熱意とか好きとかもないはず。


勝ちたいって欲もきっとない。




じゃあなんで…?


どうして怪我してまで勝とうとするの?




無意識に諒くんを目で追いながらもんもんと考える。





うぁーん!わかんない!!


試合時間が残り4分をきった頃。


応援もせず無言で諒くんを

にらみつけるように見て6分も経っていた。



点差は縮むことも開くこともなく2点差のまんま。





わたしは思いっきり息を吸って…。


「諒くんの馬鹿!!」


試合の展開とか今の状況とかぜーんぶ無視して

叫んだ。



「これで勝たなかったら超ダサいんだから!!!

 ばーーーかっ!」


胸を支配しているもやもやを吹き飛ばしたくて

自分でも何を言ってるかわかんない状態で叫んだ。




ふぅ…。すっきりした。






って…あれ?



めっちゃみんなこっち見てない…?


「ひゃあ…!」


恥ずかしくてその場にしゃがみこむ。




…これやっちゃったよね。


絶対変な子だよ!





それもこれも全部諒くんのせいだ!!


思っきり責任転嫁する。




「さゆ、大胆だね…。」


「ごめん。何にもフォローできないわ…。」


憐れむような声をかけられ、余計つらい。





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