欠けてるあなたが大好きです。
「できたー!はい、鏡!」
明日香ちゃんに大きめの手鏡を渡され、覗き込む。
…!?
「メイク…濃くない…?」
アイラインもチークも
ナチュラルメイクには程遠い濃さだ。
「そんなことないってー!
その甘ロリな服には
これくらいのが合うよ。
ね、ルナ!」
「さゆ…まじ天使…!」
パシャ…!
琉奈ちゃんが持ってるスマホから音が漏れる。
「ちょ、やめて!」
逃げるように控室を出て教室に駆け込む。
諒くんと朔くんが話しているのを見つけて、
諒くんの左手を掴みながら言う。
「た、たすけて!」
「咲雪?」
諒くんが振り返ってわたしを見た瞬間、固まる。
「中園っち…。それはやばいって…。」
「…瀧田と吉村の仕業か?」
「正確には明日香ちゃんだけかな…。」
諒くんは無表情だし、
朔くんは顔を赤くしてわたしから目を背けている。
「猫耳忘れてるよー?」
明日香ちゃんが教室に入ってくる。
明日香ちゃんはわたしの頭に
カチューシャを装着して満足そうな顔だ。