欠けてるあなたが大好きです。
『ピンポンパンポン…。
煌友祭一般公開を始めます。』
放送がかかって少し経ってから
お客さんが入ってきて、
わたし達は案内や注文取りを始めた。
「咲雪。」
「ん?どうしたの?」
注文を伝えに厨房スペースに向かったとき、
諒くんに呼び止められた。
ふと何気なく時計を見ると11時半。
結構な時間接客してたらしい。
「なんか客の入り悪くね?」
「そうかなぁ?」
今も満席だし廊下にも
昨日と同じくらい人が並んでくれている。
「昨日は生徒と保護者くらいしか
いなかったから今日と母数が違うんだよ。」
「なるほど?」
昨日よりたくさんの人がいるのに
昨日と同じ人数くらいじゃダメってことか。
「だから客引き行ってきて。」
「えぇ…。」
昨日使ってた猫の看板を手渡される。
あんまり宣伝で廊下回るの得意じゃないんだよなぁ…。
昨日は諒くんが一緒だったから頑張ったけど…。
「30分くらいだけでいいから、な?」
「うぅ…。」
諒くんが行けばいいのに…。
そう思ったけど当の本人は
お客さんに呼ばれて注文を取りに行ってしまった。
「はぁ…。やるか…。」
実行委員長だもんね…。
率先してやらないと…。
自分に言い聞かせてやる気をちょびっとだけ出す。
猫の看板を持ち直して廊下に出た。