欠けてるあなたが大好きです。
『ではではぁー!
このままMVPの発表いっちゃいます!』
え?
早い展開にまた慌て始めるわたし。
急いでステージから下りようとしたら、
司会者さんにさり気なく引き止められた。
ちなみに諒くんはトロフィーを持ったまま
さっさとクラスの列に戻って行った。
なんで!?
『もうみんなわかってると思うんで演出カットで!
MVPは2年A組中園咲雪さんでーす!』
「「「「おぉーーーっ!!!」」」」
みんなの歓声があがる。
「え…?」
MVPって全学年で1番煌友祭に貢献した人がもらえるやつだよね!?
わたしなんかがもらっちゃだめじゃない!?
あわあわしている心が顔に表れないように
必死で作り笑顔をキープする。
さすがにこの場でわたしなんかが…!ってしたら
嫌味になってしまうことくらいわかっていた。
『クラスメイトなどから
MVPに推した理由を伺っております!
"準備中の差し入れを含む、
煌友祭への士気を高める行動がすごかった!"
"衣装が似合いすぎ!
かわいすぎてもう反則!"
"いちごの天使のパンケーキ最高"
などなどべた褒めです!
反感を買いやすい実行委員長なのに
完璧にクラスをまとめあげた
いちごの天使に拍手をー!!』
パチパチパチパチッ!!
体育館に響く割れんばかりの拍手。
ふと自分のクラスの列を見ると、諒くんと目が合った。
なぜか がおー とポーズをとる諒くん。
それに合わせて にゃんっ としてみたら、
雄叫びと歓声が飛んできた。
みんなわたしに合わせてわざわざ反応してくれたんだ!
優しいなぁ、と思いながら
照れ笑いを浮かべてお辞儀をした。