欠けてるあなたが大好きです。
どういう…こと?
「それって…、別れ話…?」
近い距離で嬉しかったのもどこかに飛んでった。
ひんやりと冷え切る背中。
ピリッと張り詰めた空気。
…をぶち壊した諒くん。
「なわけねぇだろ。咲雪、あほ?」
「…あほじゃないもん。」
軽く笑いながら否定された。
普段あほって言われたらもっと反抗するけど、
今はほっとした安心感のが大きかった。
「感情、わかんねぇけどさ。
なんとなくこれかなってのが見えたんだよ。
多分咲雪が望んでるような
恋愛感情って訳じゃねーけど、
こんなオレでも"ぽい"ものが
わかった気がするんだ。」
諒くんに、感情が芽生えた…?
わたしが諒くんがサイコパスだって知ったとき、
無機質で精気のない表情を見せたあの諒くんが…?
「感情は人によって違う、
だから込められる想いの大きさも
個人差がある、だっけ。」
ほんの少し、笑みを浮かべる諒くん。
「オレの持てる感情の全部を咲雪に捧げる。
…オレと本当の意味で
付き合ってくれないか?」
泣いて、いいよね。
絶対無理だと、思ってたのに。
諒くんの方に1歩だけ歩み寄って、抱きついた。