欠けてるあなたが大好きです。

試合形式の練習は

男女2つに分けたコートではなく、

天井からゴールを下ろして広いコートで行う。



だからおのずと暇…というか

手が空く人が増える。




最初は女子の試合をするらしく、

男子はすみっこで自主練を始めた。






「咲雪。」


「お疲れ様〜。」



諒くんが話しかけてきた。




「んだよ。ふつーに返事できんじゃん。」


「へ?なんの話?」


「さっき声かけたらなんでか知らねーけど

 ばかって言われたんだけど?」




「あ…!」



そういえばそんなこともあった。





でも仕方ないじゃん!


かっこよすぎたんだもん!




「でー?オレはなんで

 ばかって言われなきゃなんねーの?」


余裕のある笑みを浮かべる諒くん。




「…なんでもない!」


「ふーん?ま、別にいいんだけどさ。」




諒くんはわたしが座ってるイスの隣に

足を投げ出して座る。




コートに目を向けると、

既に試合が始まっていた。




琉奈ちゃんは先輩と同じチーム。



スタメンっていう1番強いメンバーから成る

チームに入ってるんだって。




お、琉奈ちゃんがシュートを決めた!



「さゆー!見てたー?」


走りながら叫んでる琉奈ちゃん。


「うん!ナイシュー!!」


わたしが叫び返すと、ピースをしてくれた。



走ってる琉奈ちゃんには

見えないかもしれないけど、

ピースをしかえす。





「ふーん。そーゆーことね。」


ぽつりと諒くんがつぶやく。



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