欠けてるあなたが大好きです。
「怖いんだろ?
なら恥ずかしいのも気にならねーだろ。」
「恥ずかしいものは恥ずかしいの…!」
わたしの主張は聞いてもらえず、
手を離してもらえない。
進んでるとちょくちょく出てくるおばけに
毎回心臓を止められる。
その度に諒くんはわたしが落ち着くまで
立ち止まって頭をぽんぽんしてくれる。
これはこれですごく恥ずかしかったけど、
恐怖心に包まれてるタイミングにやられるため
それどころではない。
明るい光が見えてきたところで、
ほっとして諒くんに話しかける。
「ありがとう。」
「ん、もう出口だな。」
左手に感じていたぬくもりがなくなる。
「諒くんはおばけも絶叫系も平気なの?」
「あぁ。まったく怖くない。」
「すごいなぁ…。」
おばけはともかく、絶叫系は苦手ではないけど、
やっぱり若干怖さを感じる。
「別にいいもんじゃねーよ。」
とても小さなつぶやきがぎりぎり耳に届く。
諒くんを見ると、
なぜか悲しそうで苦しそうな表情をしていた。
口を開こうとしたが、
出口についてしまい朔くん琉奈ちゃんペアと
合流してしまう。