欠けてるあなたが大好きです。
「サクさんきゅな。
じゃあまずはバスケ、バレー、卓球、テニス部の奴は
誰が出るか決めて黒板に書いてくれ。
あと卓球とテニスはどっち2チームするかも
決めといてくれな。」
諒くんが指示をとばす。
卓球とテニスはダブルスなんだけど、
人数の関係でどちらか片方が2ペアで
もう片方が1ペアになるんだ。
数分後、各部活の代表者が決まって、
2ペアになったのは卓球だった。
バスケ部の代表者は
男子 朔くん
女子 琉奈ちゃん。
なんかポジション的に紫翠くんは向いてないらしく、
また、明日香ちゃんは小中テニスやってたから
テニスに行くことになったらしい。
「じゃあ他の奴ら書けーって言いたいとこだけど、
先に代表にならなかった運動部の奴らに書かせるわ。」
これはひいきではなく、ある意味作戦に近い。
煌友祭はバランスよく編成して、
極端に弱い競技は作らないのが一般的。
だから運動部の人を先に配置することで
最低戦力の底上げをするのだ。
運動部の人たちが黒板にチョークを走らせる中…。
「んじゃ代表者の男子集まって
オレとりじゃんけんしろー。」
運動部の助っ人をしている諒くんは、
部活には入ってないけど運動神経抜群。
だからじゃんけんで勝ったとこの競技に出るみたい。
「「「じゃんけんぽんっ!」」」
「うおっしゃぁああ!!」
勝ったのは朔くん。
バスケ男子の欄に風越と書かれる。
「じゃあここまでは確定で。サク、印つけろ。」
諒くんの命で朔くんが黄色のチョークで印をつけていく。
「定員数はとりあえず気にしないでいいから、
まだ書いてない奴は希望のとこに名前書いてください。」
わたしはゲートボールの欄に名前を書く。
どんどんみんなが名前を書き、すぐに全員の名がそろう。
「んー、男子は決定だな。
女子は…。」
ゲートボールの女子の定員は3人。
でも4人の名前が書かれていた。
逆にバレーはひとつ名前が足りない。
「渡辺ー、ゲートボールの中なら誰が欲しいー?」
諒くんがバレーの女子代表である渡辺さんに聞く。
「そんなの咲雪ちゃんに決まってんじゃん?」
「えっ!?」
「だってよ、咲雪。バレーやってくれねぇか?」
クラス中の視線が集まる。
「わ、わたしがバレーやるなら、
差し入れ作ってこないです…!」
勇気を振りしぼって言うと、なぜかみんなが焦りだした。
そしてなぜかゲートボールを希望した3人全員が
バレーに行くと言い出す。
あれ…?何が起きたんだろ…?
気づくとわたしはゲートボールのままで、
他の人がバレーに移っていた。
「じゃあ競技はこれで決まりな。サク、写しといて。」
「またおれかよ…。」
わたしが諒くんに渡されたシャーペンをとって
箇条書きの紙に写してくれる。