欠けてるあなたが大好きです。

「我々が希望するのは

 メイド、アニマル、和装、アイドルの4種です。」


そう言いながら衣装を机に並べていく。




「わぁ〜!かわいい!」


どれもすごくかわいいデザインだった。




「…なんで持ってんの?」


予想以上に高いクオリティのふりふりな衣装だったのか、

諒くんが苦笑いしている。





「どうでしょう。」



「お前らはどれがいいんだ?」



「我々は推しがばらばらでして。

 加えてどれになっても俺得なものなので。」


「そうか。」




諒くんは真面目な顔で衣装を見ている。 



イケメンが女の子用のふりふり衣装を

真剣に見てるってなかなかにシュール。





「アイドルは男子がきつくないか?

 他は男子の衣装もイメージつくけど、

 アイドルはまったく思いつかねー。」


「それはわたくしも思いました。」


諒くんと水谷くんが話し始める。





またわたしは蚊帳の外。



目の前にあったアニマルの衣装である

白猫を模したゴシックな服を手に取り、体にあてる。


やっぱり私の見た目じゃ

服がかわいすぎて浮いちゃうよなぁ…。




「ふぉぉおお!中園さん!かわいすぎますぞ!!」


「ふぇ?」


話していたはずの水谷くんが叫びはじめた。





「しゃ、写真撮っていいですか!」


「えぇ…。やだ…。」


さっと服を戻す。




興奮してる水谷くんを見ないようにして

目で諒くんに助けを求める。



「水谷、咲雪が引いてるぞ。」


「おっと失敬失敬。」


めがねをくいっとして普通のテンションに戻る。






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