君の隣で、色を見たいんだ
「う〜ん……。何となく、かな?隠そうとみどりはするけど、どこか助けを求めてるような感じがするんだ」

「……そうなんですか」

答えになっているのか微妙な答えをロヴィーノは言う。それでも、みどりは嬉しかった。自分の気持ちに気付いてくれる人がいることは、とても心が救われる。

「今みどりが考えてるのは、「嬉しい」でしょ?」

にこにこ笑いながらロヴィーノは言う。何もかも見透かされていることに、みどりは顔を赤くした。

「何もかも見ないでください!」

恥ずかしくてみどりがそう言うと、ロヴィーノは「Scusa(ごめん)」と笑いながら言った後、真面目な表情になって言った。

「ねえ、今からデートしない?」



夕焼けが、ヴェネツィアの街を染めている。水に夕日が映り、ロマンチックな雰囲気が流れていた。

水に浮かべられた小舟・ゴンドラはヴェネツィアの名物だ。

ゴンドラに、みどりとロヴィーノは乗っていた。みどりは二人きりでゴンドラに乗っていることに緊張する。いつもより近い距離にあるロヴィーノの顔は、まるで人形のようだ。

「大昔はこんな小さな小舟じゃなくて、もっと絢爛豪華な船だったらしいんだけど、運河に詰まったり、陣取ったり、挟まったりして事故や渋滞が起こったから、今の形に統一されたんだよ」

ロヴィーノがゴンドラのことを説明してくれた。しかし、みどりの心はそれどころではない。
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