君の隣で、色を見たいんだ
日向ぼっこをしている猫の絵、おいしそうなスイーツの絵、きれいな桜の絵もあった。美しい絵にみどりは目を奪われる。まるでプロの絵描きが描いたようだ。

絵には、建物を描いたものもあった。みどりの目は、じっとその絵を見つめる。淡い色鉛筆で塗られた宮殿。儚く崩れていきそうなのに、みどりはその絵を美しいと思った。

「E' una foto molto bella(とてもきれいな絵ですね)」

みどりの口から自然と言葉がこぼれる。実際に目の前にある建物より、ロヴィーノが描いた絵の方がずっときれいに見えた。

「かわいい子に言われると照れるね」

ロヴィーノは頰を赤く染めて笑う。そして、家の住所を教えてくれた。

「君はきっと、気持ちを溜め込みすぎてる。僕の家は絵しかないけど、よければいつでもおいで」

普通ならば、家に招かれた後襲われてしまうのではないか、と思い行かないのかもしれない。しかし、ロヴィーノが歩いていく後ろ姿を見ていると、みどりはもっとこの人の絵が見たいと思ったのだ。
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