君の隣で、色を見たいんだ
何より、出会ってわずか数十分で気持ちを溜め込んでしまうことを見抜かれたことに、みどりは驚いていた。

みどりは、自己主張をするのが苦手で人に合わせることが多い。本当は意思があるのだが、否定されることが怖く言うことができない。

そのため、ストレスで疲れてしまったりすることも多いのだ。

「……明日、行ってみようかな」

みどりはぎゅっと拳を握りしめた。



ロヴィーノの家に来るようになって、ストレスを発散させることができるようになっていった。ロヴィーノの絵を見ているだけでも幸せになれ、ロヴィーノが作ってくれるスイーツはとてもおいしい。

「今日は、クロスタータを作ってみたよ」

絵を熱心に見続けるみどりに、ロヴィーノが声をかける。ロヴィーノが手に持っているお盆には、クッキー生地のタルトがあった。

「わあ!おいしそうですね」

クロスタータは、イタリアでは「おふくろの味」と呼ばれるほど伝統的なお菓子だ。生地にアーモンドパウダーなどが練りこまれている。
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