同じ人を好きになるなんて
急いで玄関に向かうと陸斗とりっくんが待っていた。

「ごめんね。行きましょう」

戸を閉めて、鍵をかけるとりっくんが手を差し出した。

いつもの様に手をつなごうと右手をだす。

「違うよ。今日はこっちの手」

りっくんの左手を陸斗、右手を私がつなぐ形になった。

「じゃあ行くか!」

「うん!」

いつもに増して元気なりっくんの声。

陸斗はそんな楽しそうなりっくんをみて微笑む。

なんだか本当の家族の様だ。

でもりっくんはこれで満足してくれるのだろうか……

私は本当のお母さんじゃないし、親子遠足がうまくいく自信もない。

すると急にりっくんの足が止まった。

そして私を見て「まゆり姉ちゃん。今日はたくさんママって呼んじゃうけどいい?」

思いもしない問いかけに驚く。
< 106 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop