同じ人を好きになるなんて
「当たり前じゃない。保育園でもいつもそう呼んでるでしょ?」

「うん……でもいっぱい呼んだら嫌かなって……」

こんな小さいのにここまで考えているなんて健気すぎる。

それなのに私ったら陸斗が元彼だから夫婦っぽくなんてできないとか、周りのお母さん達の目に耐えられるか……って自分の事ばかり考えていた。

大事なのはりっくんが遠足を楽しんでもらうことじゃない。

「大丈夫だよ理人。な?まゆり」

陸斗がりっくんの頭を撫でながら私に微笑んだ。

「そうよりっくん。今日は私を本当のママだと思って甘えてね」

「うん!」

りっくんの大きな返事にどこか吹っ切れた。

と思ったが、そんなに甘くはなかった。
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