同じ人を好きになるなんて
「子どもって元気だな」

陸斗がりっくんを見ながら呟いた。

「本当。私なんてもう疲れちゃって」

食べ終えたお弁当箱をしまいながら自分の体力のなさに苦笑いする。

「俺も疲れたよ。でもこんなに日光を浴びるのも久しぶり。たまにはこう言うのもいいな」

「……そうだね」

不思議と心が穏やかなのは心地いい天気のせいだろうか。

「まゆり」

「ちょっと横になってもいい?」

お昼休みはまだ30分以上ある。

「いいよ。時間になったら起こしてあげる」

「わかった」と返事をする陸斗はスペースを開ける様に荷物を端に寄せた。

そしてごく当たり前のように私の膝に頭を乗せた。

「り、陸斗?」

驚いて名前を呼ぶと陸斗は「俺たち夫婦だろ?これぐらいで驚かないの。おやすみ」

もう!

なんでこんなことするのよ。

そういえば付き合っていた頃のデートコースは大抵大きな公園だった。

私は好きな小説を読み、陸斗も私を見習って小説を読むんだけど普段から読書をしない陸斗には、心地の良い風とあたたかな光が眠りを誘って「ごめん寝ていい?」

私の返事を待つ間もなく私の膝枕で眠っていったっけ……って何思い出しちゃってるの?

懐かしい、陸斗の寝顔に付き合っていた頃のことが思い出され私の胸の奥はざわざわしていた。
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