同じ人を好きになるなんて
陸斗の浮ついた気持ちがあんな行動に走らせた。

そして私も隙を与えてしまった。

そんな人とこの先一緒に生活できる自信がない。

だけど仕事はしなくちゃいけない。

どうしたらいいの?

迷いをぶつけるように思い切り洗顔をした。

そして歯磨きをしようと歯ブラシを口元まで運んだ時、昨日のキスがフラッシュバックした。

一瞬でも陸斗の心から愛されたいって思った自分が怖くなった。

別れたのよ。

他の人のものなのよ?

だけどあの時の私は完全に別のスイッチが入っていた。

「あ〜!ダメダメ。ダメよ」

あえて口に出すと私は歯ブラシを口に入れ昨日の記憶を消しゴムで消すように、いつもの倍以上時間をかけて歯磨きをした。
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