同じ人を好きになるなんて
「え?」

「朝一のキスもいいね〜。でも次はキスで起こしてよ」

な、何がキスで起こしてよ?!

「冗談は大概にしてください。私は単なる家政婦です!」

不覚にも昨夜のキスをまた思い出してしまい顔が熱くなる。

「冗談なんかなじゃないんだけどな〜。俺はいつだって本気」

既婚者のくせに……

ってまさか私に愛人にでもなれっていうの?

「冗談じゃないわよ。私だって……私にだって––」

「ネエ〜どうしたの?」

突然後ろのドアが開きりっくんが目をこすりながら出てきた。

すると陸斗が私を自分の方へと引き寄せた。

「理人おはよう。ちょうどまゆりママと一緒に起こしに行こうと思ってたんだよ。なあ?まゆり」

陸斗の目が俺に話を合わせろと言っている。

「そ、そうよ。陸パパと一緒にりっくんを起こしに行こうとしてたのよ」

するとりっくんが私と陸斗を交互に見る。

なんだから心を読まれているように思えて落ち着かない。

「でも一人で起きられるなんて偉いな〜」

陸斗はりっくんを抱きかかえた。

りっくんの満面の笑みが眩しい。

やっぱり褒めるって大事かも。そんなことを思ったら……。

「陸パパとまゆりママラブラブなんだね」
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