同じ人を好きになるなんて
もし、あの時私がもっと大人だったら違う未来があったんじゃないかって思ってしまっていた。

それなのに陸斗は私に母親や奥さんのふりをしろだなんて……

このまま一緒にいたら私の中にかすかに残っていた陸斗への思いが溢れてしまうんじゃないかと不安になる。

りっくんには悪いけどやっぱり早く新しい仕事を見つけてこの家を出た方がお互いのためにもいいんじゃないかな?

そんなことを考えていたらますます眠れなくなった。


それから3日が経ったある日。

りっくんを保育園に送り届けた後、一通りの家事を終わらせひと段落した頃だった。

珍しく私のスマホから着信音が鳴った。

誰だろうと思っての画面を見て自分の目を疑った。

それは約2ヶ月前まで働いていた会社の社長からだった。
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