同じ人を好きになるなんて
「ところでどうしたんですか?」

「うん……実はあんな形で会社が倒産してみんなに迷惑をかけてしまっただろ?その後のことが気になったのと俺にできることがあれば協力したいと思って社員一人ひとりに連絡を取っているんだ」

もぬけの殻になった事務所を思い出すと握りこぶしに力が入ってしまうが、時間が経つにすれ怒り大きさも徐々に小さくなっているのは事実だ。

『できれば近いうちに直接話をしたいんだが……どうかな?』

「話というのは?」

『例えば……まだ再就職先がなければ相談に……もちろん、俺一人が話を聞くわけではなく俺の友人で求人関係の仕事をしている人がいてね。その人が色々協力してくれてるんだ。ただ、家庭を持ってる社員を優先に話を聞いてて須藤への連絡が遅くなったんだ。申し訳ない」

再就職先か……

今の生活をこのまま続けていくことに不安のあった私は話だけでも聞こうかなっていう軽い気持ちで社長と会うことにした。
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