同じ人を好きになるなんて
「えー?今日まゆりお姉ちゃんいないの?」
「ごめんねりっくん」
りっくんが露骨に肩を落とした。
「理人、お前は毎日お友達と遊んでるだろ?でもまゆりお姉ちゃんはお友達と会う時間よりも俺や理人のために色々してくれてるんだ。たまにはお友達に会わせてやれよ」
益々申し訳ない気持ちになる。
りっくんは私をじーっと見つめると大きく頷いた。

「わかった。僕お留守番するよ」

「りっくん。ありがとう」

陸斗はおろかりっくんにまで嘘をついていることに胸が痛くなる。

もしこれで私が再就職先を見つけたらりっくんは悲しむかな?

もしかして私がしようとしていることはすごくいけないことなのかな?

心が乱れる。

いやいや、私はただ雇われているだけなのだからここに情は無用。

「大丈夫。俺も早めに帰るから理人、今日は男同士で遊ぼうな!」

「うん」

そうよ。私がいなくたってなんとかなるし、今までだって二人で暮らしてきたんだから大丈夫。
私はなるべく考えないようにした。

そして理人は早めに仕事を終え帰ってきたので交代するように私は社長に会うため元あった会社近くのカフェへと向かった。
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