同じ人を好きになるなんて
男性の言っていることは全く正当化されるものではなく、嫌がらせだ。

それもこれも世の中のお客様は神様と言う考え方が蔓延しているからこそ起こるのだ。

そもそも客の言うことが絶対というのが間違いだ。

私たちにも客を選ぶ権利はあるし、間違っていることを間違っていないということがそもそもおかしいのだ。

「申し訳ございませんが、お代は結構ですのでお引き取りください」

「はあ?」

男性は目を丸くしながらも不満げに私を見た。

「お客様といえ、こちらには全く落ち度はございませんし、他のお客様が楽しくお食事をしているときにこのような罵声を挙げられては迷惑です。私どもはお客様のような方よりも今楽しんでお食事をなさっている方を優先致したいのでお引き取りください」

「な、何を」

男性が声を震わせている。

「もしご納得できないようでしたら出るとこでても構いません。
ここでのやり取りはあちらのカメラにちゃんと写っていることですので」

男性は防犯カメラに気づくと苦虫を嚙みつぶしたような顔をし、横に置いてあったバッグを乱暴に掴むと私を思い切りにら見つけ店を出て行った。

男性が店を出ると近くに座っていたお客様達から拍手が湧き上がった。
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