同じ人を好きになるなんて
優しくゆっくりと角度を変え啄ばむようなキス。

私はそれが好きだった。

まさかもう一度こんなとろけるようなキスを……陸斗とキスする日が来るなんて思いもしなかった。

惜しむように唇が離れると陸斗が私の額に自分の額を重ねた。

「どうしよう俺……今すごくドキドキしてる」

「それは私も……同じ。だってこんな日が来るなんて思ってもいなかったんだもん」

すると陸斗は上目遣いで私を見て口角を上げた。

「俺は違う。まゆりと再会した時からずっとこの日を待っていた」

私の鼓動が異常なぐらいにドキドキしていた。

何か言わなきゃと思って口を開くと何も言わせないと言わんばかりに陸斗がキスをした。

舌先で私の口をこじ開け、絡めてくる。

うまく息継ぎできなくて離れようとするとさらにキスが激しくなる。

「陸……斗」

「何?」

キスの合間に交わされる言葉は会話にはならず互いの名を呼びあっていた。

そして長いキスが終わり唇が離れると陸斗は私の耳元に唇を這わせ囁いた。

「俺の部屋に来て」

返事の代わりにコクンと頷くと陸斗は私の手を握り私を誘導した。
< 161 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop