同じ人を好きになるなんて
翌日

「まゆり、ごめん今日はどうしても外せない用事があるからこの後会社い行くよ」

本当は一人になると嫌なことばかり考えてしまうから陸斗がそばにいてくれるといいなと思ったが、わがままは言ってられない。

「うん。私のことはいいから仕事頑張ってね」

「ああ。それと理人は俺が迎えに行くから」

「う、うんわかった」

内心ホッとした。

もし凛子さんと顔を合わすようなことがあったら平常心で居られる自信がなかったからだ。

朝食を済ませ、陸斗が洗面所で身支度を整えているとダイニングテーブルの上に置いてあるスマートフォンの着信音が鳴った。

陸斗が気づいていないため渡そうとして手に取ると凛子さんからだった。

どきっとしながらも私は急いで陸斗にスマートフォンを渡す。

「あっ、悪い」

奪うようにスマートフォンをとった陸斗は電話をしながら私との距離をとった。

「どうした?……理人になんかあったか?……ああ」

きっと私には聞かれたくないのかもしれない。

そう思うとやっぱりいい気分ではない。
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