同じ人を好きになるなんて
それでも気になってキッチンから陸斗の様子を伺うと時々楽しそうに笑ったり、顔を赤らめたりしている。

「……そうなんだ。だからすごく嬉しいよ」

すごく照れながら話す声に私は胸が痛くなる。

しばらくして陸斗は何事もなかったように私を後ろから抱きしめた。

「じゃあ行ってくるね」

「うん」

「理人が帰ってきたら何だけど……俺たちのこと話そうと思ってる」

「え?」

「だってきっと理人もそれを望んでいるだろうから。ってことで行ってきます」

陸斗は私の頭に「チュッ」とリップ音を出しキスをすると仕事へ行ってしまった。


*************

私は一通りの家事を終わらせると昨日陸斗が見せてくれた凛子さんの写真集をもう一度見た。

母シロクマが子供に頬ずりしている姿、コアラが子供をぎゅっと抱きしめてる姿、小狐が母狐に甘えてる姿、母猫と子猫が並んで歩く後ろ姿どれも見ているだけでグッとくるような写真ばかり。

「綱島凛子さん……」

本当はこんなことしたくなかったけど……気づけばスマホで彼女の名前を検索していた。

すぐにヒットした彼女のプロフィールを見て私は固まった。
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