同じ人を好きになるなんて
凛子さんはりっくんを寝かしつけると私に今まで撮った写真を見せてくれた。

動物の他にも風景写真も多く撮る凛子さん。

幻想的な写真や動物の奇跡的な写真を撮るまでの苦労話などを聞かせてくれた。

「外国に行かなくてもコツを掴めばいい写真は撮れるのよ。例えば晴天の時よりも雲の多めの時を狙うのがいいのよ。雲の隙間から陽の光が漏れたりするでしょ。こういう時がシャッターチャンス。あとは日が昇る時と日が沈む時」

写真に疎い私には凛子さんの話はとても勉強になった。

凛子さんはすごく綺麗で話しににくい印象があったけど、人と話すのが大好きな凛子さんの話は全く飽きない。

気がつけば時計は日付を変更していた。

そろそろ寝ようかと声をかけたのは私と凛子さんから少し離れた場所で仕事をしていた陸斗だった。

すると凛子さんが陸斗を呼んだ。

凛子さんは改まって私たちに頭を下げた。

「本当にありがとう」

私は陸斗を顔を見合わせた。

「子供がいるのにも関わらず私たちが好きなことをやっていけたのは陸斗のお陰なの。理人にしたって普通だったらママやパパと一緒にいたいって思う年齢でしょ?でも陸斗が理人を我が子のように可愛がってくれるから私たちは好きなことができるの。それにまゆりちゃんの存在も理人には大きかったの」

「私な何も……」

否定すると凛子さんは首を横に振った。
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