同じ人を好きになるなんて
「日本に誰もいないわけじゃない。今まで通り俺たちが面倒を見ればいいだけの話だろ?要さ……理人がどうしたいかじゃないの?日本とパリどちらにも理人の面倒を見れる人間はいるんだからあの子の自由にさせるのがいいと思うよ。姉貴はどう思う?」

凛子さんはしばらく考えていた。

「理人、辛かったんだろうね。行きたくないけど私のことを思って……私を一人にしたくなかったんだろうね……あんな5歳の子に心配かけさせて……」

凛子さん今にも泣きそうな目をしていた。

そんな凛子さんの肩を陸斗が叩いた。

「なんて顔してんだよ。あいつの人生初の大きなわがまま聞いてあげよう。どっちにしろしばらくは姉貴と一緒にパリに行くんだし……向こうに着いたら意外と日本よりいいっていうかもしれないだろ?」

陸斗の言葉に凛子さんも納得し表情が柔らかくなった。

「でもまた二人に迷惑かけるんじゃない?せっかくのラブラブな時間を邪魔するようで申し訳ないな〜」

「ラ、ラブラブって」

私は恥ずかしくて両手で顔を隠した。

「姉貴、その辺は大丈夫だよ。二人きりになれる時間はいくらでもあるからな。な〜まゆり」

陸斗の含み笑いにドキッとした。
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