同じ人を好きになるなんて
保育園の門を出ると凛子さんが走ってきた。

「ママ!」

「理人おかえり」

凛子さんは私の持っている紙袋を驚いた様子で見た。

「しかしすごいわね。これ……もしかしてプレゼント?」

「うん」

「そう。じゃあ、プレゼントのお返しをしないといけないわね。何がいいかな〜パリの美味しいお菓子?それとも可愛いノートがいいかな?」

するとりっくんは急に下を向いてしまった。

「理人、ママのお願い聞いてくれるかな?」

「なあに」

「理人はママたちとずーっとパリにいたい?正直に言って?」

するとりっくんは私の方を見た。

きっとりっくんなりに私に気を使ってるのだろう。

私は笑顔で頷いた。

「ママと一緒にいたいけど……僕は友達がたくさんいるここにいたい」

「そう。じゃあこうしない?最初にママと一緒にパリに行くでしょ?でそのあとパパがくるよね。それでも理人が帰りたいっていうなら……まゆりちゃんたちに迎えにきてもらう?」

え?

今私たちが迎えにって言った?

するとさっきまでの泣きそうだった顔がぱあっと明るくなった。

「本当?」

「ええ本当よ。どうしても帰りたかったら迎えにきてもらおう。それまではママと一緒にいてくれるかな?」

「うん」

りっくんが満面の笑みを浮かべた。

「凛子さん?」

「婚前旅行だと思ってパリに来てよ」

こ、婚前?
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