同じ人を好きになるなんて
『お、おい今まゆり一人か?』

「え?……それは」

私はちらりと岡上社長を見た。すると私にウインクをしてきた。

さっきのは絶対にわざとだ。

『それはって……誰かいるのか?いるんだろ?』

陸斗の焦る声にこれ以上心配かけてはいけないと思うのだが、岡上社長の声を聞いてしまった陸斗には何を言っても無駄だった。

挙げ句の果てには『今からそっちに行くから動くよ』と言って一方的に電話を切られた。

「は〜」

ついため息が出てしまう。

「ずいぶん溺愛されてるんだね」

「え?」

これを溺愛と言うのだろうか……

「でも振られた身としてはこれぐらいの意地悪してよ」

岡上社長は席を立った。

「じゃあ僕は彼氏さんが来る前に退散するね。じゃあ」

私は黙って一礼した。

それから20分後陸斗が血相変えてやってきたことは言うまでもない
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