同じ人を好きになるなんて
「は、恥ずかしから絶対に見ないでね!」

「はいはい。ほら早くこいよ。湯加減ものぼせない程度に調整してるからいつまででも入れるよ」

そんな情報いらない。

っていうかまさか二人で露天風呂に入るなんて全く想像していなかっただけに恐ろしいくらいドキドキしている。

陸斗が私に背中を向けているのでその間にきている物を全て脱いだ。

そして前かがみになりながら急いで湯船に浸かった。

空はすでに星が出ていた。

キャンドルも全て消し、私たちを照らすのは星と月だけだった。

私が陸斗に背を向けるようにお風呂に入ると陸斗同じ方向を向いた。

そして後ろから私を抱きしめた。

「今日は月がよく見えるな」

空気が澄んでいるから星もものすごく輝いてて今にも振ってきそうな感覚に襲われる。

でもとてもリラックスできる。

「星が綺麗。なんかプラネタリウムを見ているみたい」

「だろ?俺はこの景色をまゆりに見せたかったんだ」

「え?」

「この家を建てたときに理人と二人で露天風呂に入ったんだよ。その時にこの星空を初めてみてね。すぐに思い浮かんだのはまゆりだった。いつか……またいつかまゆりに会える時が来たらこの星空を見せたいって。……でもその夢が叶った」

陸斗がそこまで私を思ってくれていたことの改めて実感した。

私たちは自分のことになると時々思ってもいない行動をとったり言わなくてもいいことを言って随分遠回りをしてきた。

だけどそれがあったからこそ今の私たちがあるのだとも思った。

私は陸斗の手に自分の手を重ねた。

「こんな素敵な星空を見せてくれてありがとう。だけど1回じゃ嫌。春夏秋冬いろんな星空を見せてくれなきゃ嫌だ。だから絶対に離れないからね。覚悟して」

すると陸斗が私を自分の方に体ごと向けた。

「俺も2度とお前を離さない。愛してるよ……まゆり」

私は陸斗に抱きついた。

「私も……愛してる」

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