同じ人を好きになるなんて
「あのね、理人くん。お姉さんすごく忙しいからここでサヨナラしていいかな?パパにはごめんなさいって言っておいてくれるかな?」

「嫌だ」

もしかして親子揃ってしつこい性格?

「どうして?」

「だって陸パパが待っててって言ったもん」

スカートの裾を持ったまま離そうとしない。

でも今の自分の置かれている立場を知られたくない。

「でもね、理人くんのパパならきっとわかってくれるから」

子供を困らせたくはないけどこれしか方法がなかった。

理人くんは渋々だが頷こうとした。

だがその時「お待たせ」

コンビニ袋を持って陸斗が戻ってきた。

その姿がランチ友達だった頃と被ってしまいどきっとする。

いやいやそうじゃなくて……これじゃ帰れないじゃない。

「水とタオル。これでなんとかなると思うけど……」

「ありがとうございます」

どうしても顔を上げられす下を向いたママコンビニ袋を受け取った。

「でもここじゃあなんだから……ファミレスにでも行かないか?俺たちもちょうど行く所だったんだよ」

行くわけないでしょ?断ろうと口を開きかけた時だった。

「お姉ちゃん行こうよ〜」

またも天使の囁き。
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