同じ人を好きになるなんて
目の前のファミリーレストランに入ると私はそのままお手洗いに駆け込んだ。
そして白くなったスカートのシミを取った。
タオルで水分をとってなんとか大きな水玉は無くなったものの大きなため息が出た。

私何やってんの?

本当はこんなことしている場合じゃないよね。

元彼といってもただの元彼じゃない。妻子持ちだよ。

もし私が奥さんの立場なら、嫌だ。だって自分の子供を元カノに会わせる?

そんなことあり得ない。

やっぱりこのまま帰ろう。

こっそり出ていけばバレたりしないだろう。

偶然にもここのファミレスはレジ横奥にお手洗いがあるので腰を低くして出れば店を出たとしても気づかれない。

理人くんには悪いけど、私達は会わない方がいい。

私はお手洗いを出ると少し前かがみでレジの前を通り出口へ向かおうとした時だった。

「お姉ちゃん。こっちだよ」

なんと理人くんが待っていた。
< 33 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop