同じ人を好きになるなんて
いや、この場合待ち伏せ?大方陸斗が上手いこと言って理人くんを使ったに違いない。

私は仕方なく席に座った。

「シミは取れた?」

「はい。ありがとうございました」

だめだ、緊張してついつい敬語になってしまう。

まともに顔が見れなくて視線はテーブルの上。

目の前では理人くんが楽しそうにメニューを見ている。

「仕事が忙しくどこにも連れて行ってあげられなくてさ……今日は理人がどうしてもお子様ランチが食べたいっていうから」

陸斗は理人くんの頭を撫でながら話した。

「そうなんですか」

すると理人くんは陸斗の方を見て「だって、あかりちゃんも、ゆうきくんも、そうじろうくんもここのお子様ランチ食べたっていうんだもん」

自分だけ食べてないことが嫌だったのか頰を膨らました。

やっぱりすごく似てる。

どこから見ても親子だ。

もし、私が陸斗と別れなければ結婚して理人くんみたいな天使のような男の子のお母さんになっていたのかな?

いや、そんなことはない。だって陸斗は私の運命の人ではなかったのだから。
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