同じ人を好きになるなんて
でも向こうも引き下がるつもりがないのか「なんで?」と理由をしつこく聞いてきた。

だから本当は言いたくなかったが、今住んでるアパートを出ることにしたがまだ新しい部屋が見つらず、職場が決まらないと部屋も決まらない状況を説明した。

「だから、ちゃんとした会社に就職したいの。綱島さんのお宅で家政婦じゃ……不安なんです」

すると、陸斗はなぜかニヤリと笑った。

「な〜んだ。そんなことか。俺はてっきりもっとすごいことかと思ったよ」

陸斗にとってはそんなこと程度かもしれないが、私には生きるか死ぬかぐらいすごいこと。

すごく軽く見られて心外だ。

「ですから私は––」

「だったら住み込みで働かない?」

「す、住み込み?」

「そう、住み込み。部屋ならたくさん余ってるし家賃もいらない。それに近くで理人を見てくれると俺も助かる」

悪ふざけも大概にしてほしい。

なんで元彼の家に住み込みで働かなきゃならないの?

それが子供のためと思う気持ちはわからないでもないが、私の立場はどうなるの?

子供のためなら元カノを自宅に住まわせることなどなんとも思っていないんだと思った。
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