同じ人を好きになるなんて
陸斗はしばらく考えるようにプリントを見つめた。

そして私に視線を移す。

「もちろんまゆりも行くよな？」

「え？……陸斗が行くなら私は留守番するよ。だってほら親子水入らず？男同士？その方がいいと思って……」

だが陸斗の答えは「嫌だ」の一言だった。

「嫌って……何が？」

「まゆりが行くなら俺も行く」

何を言い出すかと思えば……。

私は二人のことを思って言ったのにまるで子供みたいに言う陸斗に目を丸くした。

「じゃあ、私が行かなかったら？」

陸斗は私をじっと見つめ「行かない」と言い、プリントをテーブルの上に置いた。

ちょっと待ってよ。

確かに設定上、私は陸斗の奧さんになっている。

もし私が陸斗と遠足に行けば、家族のように振る舞う必要がある。

りっくんとはなんちゃってだけど親子っぽくは見せれるようになったけど、陸斗と夫婦っぽく振る舞える自信などない。

だって今でもまだぎこちないのに、いきなりたくさんのお母さんやお父さんたちの中で本物の家族のようにできるとは思えないからだ。
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