君がキライなそのワケは
引っ張ってこられたのは、近くの大学の前だった。
「ここって……」
「そう。莉子の好きな人の大学」
後ずさる私を引きずる勢いで、富美は私の腕を掴んで行ってしまう。
「ちょっと、待って! そんなっ……心の準備が」
「必要ないって。あたしが見てみたいだけだもん」
「いやいや、居るとは限らないしっ」
「あー、そっかぁ」
大学の敷地にだいぶ入ったけど、私の言葉で富美はようやく立ち止まってくれた。
「………でも」
「え? うわわっ!」
再び歩き出した。
「ちょっと早い大学見学って事でいいよねぇ」
「よ、良くないってば!!」
富美ってば案外力強いんだなって思いながらも、必死で説得しようと頭をフル回転させる。
「あはは。大丈夫だってば。あたし達私服だよ? 何の問題もないってば」
「えええ」
「万が一怒られたら、その時はその時って事で」
何がなんでも譲る気は無いらしい。
富美ってば穏やかな反面、案外頑固だもん。
「……あ。アレかな?」
「え!?」
彼女が指を指す方向を見ると、すっごく目立つ後ろ姿があった。
「確か太郎さんって背が高いんだよね?」
「あ、うん」
それは本当に一目で分かるくらい大きかった。
遠目で見れば尚更、特に周りとの対比で。
「大きいなぁ。巨像だ!」
「巨像って……」
「何百メートルあるの? アレ」
「建造物みたいに言うな!」
確かに大きいけどさァ。
仮にも親友の片想い相手だぞ……。
「ここって……」
「そう。莉子の好きな人の大学」
後ずさる私を引きずる勢いで、富美は私の腕を掴んで行ってしまう。
「ちょっと、待って! そんなっ……心の準備が」
「必要ないって。あたしが見てみたいだけだもん」
「いやいや、居るとは限らないしっ」
「あー、そっかぁ」
大学の敷地にだいぶ入ったけど、私の言葉で富美はようやく立ち止まってくれた。
「………でも」
「え? うわわっ!」
再び歩き出した。
「ちょっと早い大学見学って事でいいよねぇ」
「よ、良くないってば!!」
富美ってば案外力強いんだなって思いながらも、必死で説得しようと頭をフル回転させる。
「あはは。大丈夫だってば。あたし達私服だよ? 何の問題もないってば」
「えええ」
「万が一怒られたら、その時はその時って事で」
何がなんでも譲る気は無いらしい。
富美ってば穏やかな反面、案外頑固だもん。
「……あ。アレかな?」
「え!?」
彼女が指を指す方向を見ると、すっごく目立つ後ろ姿があった。
「確か太郎さんって背が高いんだよね?」
「あ、うん」
それは本当に一目で分かるくらい大きかった。
遠目で見れば尚更、特に周りとの対比で。
「大きいなぁ。巨像だ!」
「巨像って……」
「何百メートルあるの? アレ」
「建造物みたいに言うな!」
確かに大きいけどさァ。
仮にも親友の片想い相手だぞ……。