君がキライなそのワケは
頭突きは最後まで取っておけ
(なぜこんな事になった)

私はこっそりため息をついた。

あれから再び涼介にブチ切れて掴み合いしたり。
太郎さんと富美に止められたり。
せっかくだから、と一緒に食事に行って富美がいつもの凄い食欲を見せて涼介をドン引きさせたり。

……そしてなんだかんだで、太郎さんの家にいる。
あ、涼介の家でもあるけど。

いや、好きな人の家に行く事は嬉しいよ!?
今の私には滅多にない事だし。

富美は良い。
むしろ居てくれたら私の心臓が恥じらいと喜びで破裂しないで済むかも

でも涼介、お前はダメだ!

「ため息なんかつくと幸せにげるぞ」
「うっさいな! ………ふん、君は良いよなァ。年中幸せが裸足で逃げ出すような面しててさ」
「ンだとコラ! どーゆー面だってぇぇ?」
「ケッ、ついに根性だけじゃあなくて、耳まで悪くなったのかな」
「てめぇなぁ、男なのは格好だけにしとけよォ」
「お前ッ! もう1回いってみろォォォッ!!」

何度目になるか分からない言い争いに、富美が笑って割り込んだ。

「もう、本当に莉子と涼介君って仲良しなんだねぇ」
「!?……なんであんなチャラ男とっ!」
「……なんであんな凶暴女とっ!」

思いがけず重なった声に苛立ちが募る。

(凶暴女って……反論出来ない分却ってムカつく!)

「涼介にはもう仲の良い友達が出来たんだな」

そう言ってジュース等を出してくれた太郎さんは、穏やかに微笑んでいた。

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