君がキライなそのワケは
日本人には見ない色の瞳に、惹き付けられて離れる事ができない。

「涼介の瞳も、綺麗、なんだな……」
「……っ!」

思わず思考が口から出ていたらしい。
驚いて見開いた目。
やっぱり逸らせない。

「あ、あのさ」
「ん?」

涼介が躊躇いながら言葉を紡ぐ。

「その、今日は……ごめん」
「え」
「別に莉子がどんな格好しててもオレは………その、凄く可愛いし似合ってると、思う、ぜ」
「そ、そうか。その。私も、悪かったな」

至近距離でこの綺麗な顔を見るのはキツい。
いくら涼介でも。

……心臓の音がうるさい。不整脈かって位苦しい。
なんなんだこれ。

(コイツ、ズルい。本当は私が悪いのに。
こんな時に格好良く謝ってんじゃあないよ)

目の前の顔が、ニッコリと笑った。
こんな顔もできるんだな。とボーッと考えていた。

(昔から変わってない。いい所かっさらって行く感じ………ってあれ?)

おかしい。今おかしい事考えたな。
私とコイツは今日会ったばかりなのに。

「莉子」

太郎さんより少し高い声。
そう言えばコイツ、私のこと呼び捨てだったな。
馴れ馴れしいヤツめ!
あ、いや待てよ。私もだったな。

違和感と疑問符がどんどん膨れ上がっていく。

「な、なァ。涼介」
「ん?」
「私とお前、以前どこかで会ったっけ?」

……涼介の目がスっと細く、険しくなった。
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