君がキライなそのワケは
真っ暗な草原で
夢を見た。
そこでは私は小学生。

私には幼馴染がいて。
男の子二人と私、たまに大きなお兄ちゃん二人が遊んでくれた。

男の子二人は、涼介とフミオっていう名前。
フミオは優しくてなんでも知ってる賢い子。
でも少し身体が弱くて、喧嘩は苦手。

涼介は足も早いし力も強いけど、いつもイジワル。
すぐに馬鹿なことばっかりする。
だからよく私はこの子と喧嘩していた。

大きなお兄ちゃん。
一人は涼介のお兄さんで太郎さん、中学生。
すごくカッコよくて優しい人。
涼介とは大違い。

……もう一人は。

そうだ。陽太君だ。
二人とも友達みたいで、すごく優しかった。
陽太君はよく私と遊んでくれたり、『内緒だよ』ってプレゼントくれたな。

濃い顔で大きくて、男らしい雰囲気の太郎さんとは対照的な物腰柔らかい中性的な感じの陽太君。

彼は涼介のバカみたいに『オトコ女』ってすぐに揶揄ってきたりしない。
唯一、私を一人の『可愛い女の子』として扱ってくれた。

『莉子は可愛いね』
『すごく綺麗だよ』
『足が、手がすごく素敵』
『将来……ボクのお嫁さんになってくれる?』

綺麗な百合の花を持って言った言葉だ。
初めてのプロポーズに、顔を真っ赤にして頷いた。

< 23 / 32 >

この作品をシェア

pagetop