俺の、となりにいろ。

「え…?」

一歩踏み出した時、私は数人の女子社員たちに囲まれた。その中には、仲本桜子もいる。

「ほら、やっぱりいたでしょ?イヤねぇ、お局様が盗み聞きなんて」
と、上から目線で腕を組んでフフッと笑う。
他の女の子たちは困ったような、怪訝そうな顔で私を見ている。

──きっと、今まで彼女達の話を聞いていたバチが当たったんだ。

俯いて、両手をキュッと握る。
「ご、ごめ…」

「ねぇ、あなたも聞いていたなら分かるわよね?私たちとあなた、そして桐谷くんでご飯のセッティングしてくれます?食事代はあなた持ち。私たちの話を盗み聞きしたんだから当然でしょ。桐谷くんを満足させるお店を選んでよね」

「そんな…」
「もちろん、桐谷くんはあなたが誘うのよ」
「でも…」

「あら、宇田支店長をありもしないセクハラで訴えたことを知られたんだから、断られるかしら?でも、それはあなたが悪いのよ。桐谷くんを頑張って説得してね」

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