俺の、となりにいろ。

仲本桜子の回りの女の子たちがヒソヒソと
騒ぎ始めた。
ここは営業部の社員たちが出入りする五階で、すぐ目の前にはホールとエレベーターだ。
私たちの様子を見ながら、通り過ぎていく社員もいる。

──お願い。このデタラメな噂を聞かないで。

自分の両手の指を交差させて握りしめる。


「一体、どうしたんだね?」

聞きたくない、その恐怖の声に、ギクリと体が固まった。
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