俺の、となりにいろ。
こんな時に、どうして。
彼女たちの後ろで、この光景を不思議そうに見ている宇田支店長。
私を囲っている女の子たちが、一斉にサッと宇田支店長の二歩ほど退く。
仲本桜子だけは彼にニッコリと愛想を振りまいて「お疲れ様です」と、歩み寄った。
「七年前のこと、聞きました。松坂さんって随分大胆な人だったんですね。宇田支店長が相手してくれないからって、訴えるなんて。酷いと思いました」
目の前で笑みを浮かべる彼女に、宇田支店長は両目を開いて、少し驚いた顔をした。が、すぐにいつもの温厚な表情に戻り、
「あの時の田島さんは…今は松坂さんだね。仕事が忙しく、きっとどうかしていたんだと思うよ。僕は彼女の爆発したストレスを受けただけだと思っている。そして、今の彼女は十分に罪を償っている」
と、まるで仲本桜子に便乗した感じで話し出した。