俺の、となりにいろ。

内容は事実と違うし、自分の嘘を正当化して、私の行動を「罪」だと言った。しかも、私が彼にフォローされたと思うと、腹立たしくなった。

「宇田支店長、私は七年前も今も正気です。七年前のことも、私は一つも嘘を言っていません」
と、言ってしまった……。

ああ。ここでまた揉めたら、今度こそクビになるかもしれない。
と、頭の中でそう思ったが、拡散されたデタラメな噂より真実を公にするべきだと思った。
宇田支店長はピクリと眉を動かしたが、すぐに微笑みを浮かべた。

「僕も嘘は言っていないよ。まあ、周りに広がっている噂は、少し捻っている感じだけど…」
と、優しい口調で背の低い私を見下ろす。

全然、目が笑ってない。
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