俺の、となりにいろ。
そんな。
でも、そのせいで。そのデタラメな噂のせいで。
「百歩譲って宇田支店長がそうだったとしても、せめて「噂は本当でない」と仰ってくれたら彼女は……桃香さんは心を病むこともなかったのに」
「桃香?ああ、あの退職した子かね。一人で福岡へ行くところを、可哀想だと思って僕と同じで大阪への異動にしたのに」
……え?
握りしめた手はプルプルと揺れている。
私は初めて、怒りで心が震えることを知った。
もう、歯止めが効かなかった。
「まだ、そんなことを言ってるんですか。桃香さんはあなたに散々セクハラされたんですよ。なのに、更に追い打ちをかけるように一緒に大阪へなんて…。桃香さんの心にトドメを刺したのは宇田支店長、あなたです」