俺の、となりにいろ。
宇田支店長は黙り込む私に、ピクリと眉を動かして言った。
「松坂さん。僕は何も悪いことはしていない。だから、僕に対しての全ての誤解を消してくれないか。しかし、本社でこれだけの騒ぎを起こしたんだから、きっと君はここにはいられないだろう」
私の頭の中に「クビ」という文字が浮かぶ。
目の前の男は、口角を軽く上げる。
「そういえば、大阪支店は事務員が不足しているんだ。ちょうどいい、営業事務の経験がある君が大阪に来たらいいよ。僕の隣で補佐をしたらどうかな?」