俺の、となりにいろ。

僕の隣で、なんて冗談じゃない。

この男の隣で飼い殺しのような生活をするくらいなら、会社を辞めた方が…と思うと、フッと秀人の顔を思い出す。
彼の私を見る優しい顔は、勇気を与えてくれる。


｢宇田支店長って、本当に心が寛大な方なんですね｣

少しの沈黙の後で、仲本桜子の感心する声が広がった。
｢ご自身をこんなに散々な目にあわせた人を、まだ助けようとするなんて｣
と、彼女はすっかり宇田支店長の信者気取りだ。
尊敬の眼差しが、やがて軽蔑の視線へと変わって、私へロックオンされた。

｢それなのに、その慈悲深さを逆手にとって宇田支店長を悪者にしようなんて、身の程知らずもいいところね。私たちにも優しいこの方が、セクハラなんてするわけないでしょ｣