俺の、となりにいろ。
「これは過去十年前まで遡った宇田支店長の行ってきた、不正書類です。下請け業者へ現場の発注を優先的に流す見返りとして、宇田支店長の個人口座にいくらか振り込んでもらっていますよね、宇田支店長?」
彼はそう言い放ち、クリップで留められた書類の束を床へ放り投げた。床にクリップが当たったのか、書類がバラバラと広がっていく。
桐谷ハウジングからの発注書のコピーや明細、支払いの領収書やリストのデータのコピー。その上、これらの提出書類が偽りでないことを証明する社印と捺印のある書類までが、私の足元にまで散らばった。
社員たちが床の書類を拾い上げて確認している。
「うわ。設備会社から宇田支店長への振り込み明細書だ」
と、社員の驚いた声に、社員たちが騒然とし始めた。
七年前、桃香さんの言った「あのこと」がみんなの前で明かされていく。
解明する術もなく、ただ宇田支店長の言うがままの社員に成り下がった私と違い、秀人は真実を見つけ出して表に曝け出してくれた。
クリアになっていく中に立つ秀人が眩しく見えた。