俺の、となりにいろ。

 男の子は私を見つめたまま、小さく口を開いた。

 「雨宿りのお礼に、俺は何をしたらいい?」

 外の激しい雨音の中で聞こえた、掠れた声。
 少し高めの声だけど、初めて間近で聞いた男の声に、ドキドキと心臓が速くなる。

 影を宿しながらも、吸い込まれそうな瞳を見つめる。

 この先、どん底の人生が待っているなら。

 自分の、しっかり自覚している小太り体型にソバカス顔。それでも「女」として扱ってくれるなら、少しはマシなのかもしれない。

 壊れそうな、ドクドクと高鳴る心臓を手で押さえて。
 一言だけ、やっと言えた。

 「……抱いて」

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