俺の、となりにいろ。
「俺は既に七年前に、お前に堕ちていた。意外と欲張りでさ、お前の一生、全部が欲しい」
秀人が私の前に少し屈んで、目線を合わせる。
きれいな整った顔に、すっかり狼狽えてしまった。
長い指が近づいて、そっと私の唇をなぞっていく。
「咲がいない、なんて無理だ」
嬉しいことを言ってくれるが、イケメンに見とれている場合ではない。
私は今年三十二になる。秀人は二十七という若さだ。これから未来ある彼を、私が縛りつけていいのだろうか。
徐々に冷静になっていく。