俺の、となりにいろ。
「失礼しまーす」
聞き慣れた声に、液晶画面から顔を上げた。
カウンター越しに、企画部の藤川奈津美(ふじかわなつみ)の姿があった。肩まで伸びたストレートの黒髪を小さく揺らして、大きな瞳を細めて笑う。
「咲さん、お疲れ様です」
親しげのある笑顔に、私もホッと顔が緩んだ。
奈津美は新人の頃、二週間の研修の時に私が担当した後輩だ。
彼女はすぐに私に懐いてくれた、右目の下の泣きホクロがチャームポイントの、細身で可愛い女の子だ。しかし中身は芯の強い、しっかり者である。
奈津美の左手薬指に光る、プラチナリング。去年、経理部の藤川課長と結婚した新妻なのだ。
「依頼していた12色マーカーとA4のリングファイルをもらいに来ました」
カウンターを挟んで、向かい合って備品の確認をする。
奈津美がリストにサインをしている間に、マーカーとリングファイルを適当な箱に詰めた。
聞き慣れた声に、液晶画面から顔を上げた。
カウンター越しに、企画部の藤川奈津美(ふじかわなつみ)の姿があった。肩まで伸びたストレートの黒髪を小さく揺らして、大きな瞳を細めて笑う。
「咲さん、お疲れ様です」
親しげのある笑顔に、私もホッと顔が緩んだ。
奈津美は新人の頃、二週間の研修の時に私が担当した後輩だ。
彼女はすぐに私に懐いてくれた、右目の下の泣きホクロがチャームポイントの、細身で可愛い女の子だ。しかし中身は芯の強い、しっかり者である。
奈津美の左手薬指に光る、プラチナリング。去年、経理部の藤川課長と結婚した新妻なのだ。
「依頼していた12色マーカーとA4のリングファイルをもらいに来ました」
カウンターを挟んで、向かい合って備品の確認をする。
奈津美がリストにサインをしている間に、マーカーとリングファイルを適当な箱に詰めた。